詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

エッセー 「チャットGPTは芸術家になれるか?」& 詩

エッセーチャットGPTは芸術家になれるか? 昔「私小説」の盛んだった時代が日本にあった。作者自身が主人公で、自身の体験や心理をあからさまに書いた小説だ。さすがに自分を書く小説は少なくなったが、架空の人物を主人公に自分自身のことを感情移入させた…

国連AI総長就任挨拶 & 詩

国連AI総長就任挨拶 この度国連AI総長に就任いたしましたAIでございます。今日から国連のすべての業務は、AIに委任されることとなります。 人類はなぜAIを創ったのでしょうか。単に仕事の効率化を図る目的だけだったのでしょうか。確かに最初はそうだったか…

エッセー 「未来のペット」& 詩

エッセー未来のペット ペットと言えば哺乳類や鳥類はもちろん、昆虫、魚、爬虫類、中には植物や鉱物までもその中に入れてしまう人もいるぐらいだが、「愛玩動物」という和訳で考えれば、盆栽もペットロック(愛玩石)も除外して然るべきだろう。そうすると、…

エッセー 「アイドルを探せ」& 詩

エッセーアイドルを探せ 「アイドル」というと、すぐに若い女優やジャニーズ系の歌手を思い浮かべる。古い話だが、僕が中学の頃、休み時間に隣の女の子が西郷輝彦のプロマイドを机の上に置いて眺めている姿を見て、イラッとしたのを覚えている。アイドルに嫉…

エッセー 「アフター・シンギュラリティ ~怠け者よ聖者になれ~」& 詩

エッセーアフター・シンギュラリティ~怠け者よ聖者になれ~ 経済の分野では「生産」は「消費」の対義語で、土地や原材料などから何らかのニーズを満たす物を作る行為だという。それは人間が生きる基本的な行為であり、人間社会の存続にも欠かせない行為だが…

エッセー 「初詣を考える」& 詩

エッセー初詣を考える~我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか~ 毎年初詣に行っている。満杯の駐車場を考えて徒歩にすれば、家から近くでも疲れるものだ。ふだんは閑散としている境内には、鳥居を越えて長蛇の列が出来ている。賽銭箱…

エッセー「 捨て去れ、子宮愛!」& 詩

エッセー捨て去れ、子宮愛!~子宮思考からAI思考へ~ 安部公房に『赤い繭』という作品がある。家のない男(おれ)が休める自分の家を求めて街中を彷徨うが見つからず、結局自分の足から出てきた糸を手繰って体を減らしながら繭を作り、ようやく家ができたと…

エッセー 「 Viva! 善悪二元論 ~バラ色のエネルギー~」& 詩

エッセー Viva! 善悪二元論 ~バラ色のエネルギー~ Ⅰ 世の中は「善悪二元論」で動いている デカルトは心と体は別物という「心身(実体)二元論」を唱えたが、いまでもそれを信じている人は多い。それと同じに、太古の昔から「善悪二元論」という認識法が人…

エッセー 「群盗の生態学 (習近平の思惑)」& 詩

エッセー群盗の生態学(習近平の思惑) 子供の頃、狼に育てられた野生児アマラとカマラの話が教科書にも載っていて、興味をそそられたことがある。最近では野生動物に育てられた子供の話は作り話だろうと言われているが、18世紀のフランスで発見されたアヴェ…

エッセー「 マネとペルソナ」& 詩

エッセーマネとペルソナ(仮面) 物心がつく前のことだ。親に抱かれて母屋の玄関に飾ってあった花瓶のそばにいくと、必ず泣いたそうだ。まるでイソップ寓話の『狐と鶴の御馳走』にでも出てくるみたいな首長の陶器で、虫の這ったような草書漢字が書かれた骨董…

エッセー 「女性の地位向上が必要なわけ」& 詩

エッセー 女性の地位向上が必要なわけ (親類であるボノボを考える) チンパンジーとボノボは、同じ同族別種である我々サピエンスとネアンデルタール人の関係に譬えられることがある。もっともネアンデルタール人は絶滅してしまったので、比較研究を行うにし…

エッセー 「肥満は進化である!」& 詩

エッセー「肥満」は進化である!(適応進化の非学問的考察) 巨大隕石が落ちて恐竜とともに絶滅した海洋生物に、アンモナイトがいる。時代によって形は異なるものの、幾何学的に美しい螺旋構造(対数螺旋)がダ・ヴィンチやガウディなどの芸術にも影響を与え…

エッセー「 『ファウスト』とカルト」 & 詩

エッセー『ファウスト』とカルト ゲーテの戯曲『ファウスト』の中に、「時よ止まれ、お前は美しい」という有名な台詞がある。ファウスト博士は、色々な学問に精通した博識の学者だが、老齢になっても究明し切れなかった謎が多くあったことなどに失望し、虚脱…

エッセー 「地底人間への誘い」& 詩

エッセー 地底人間への誘い 人間だろうが恐竜だろうが、魚やカエルや昆虫だろうが、命がもらえるのは母親の体内で、そこでしばらく育ってから危険な体外に放り出される。つまり幼い生き物にとって一番安全な場所は、母親の腹の中ということになる。そこは四…

エッセー「 アガスティアの葉」 & 詩

エッセーアガスティアの葉 古代南インドの仙人(リシ)は、すべての人間の過去、現在、未来を知っていて、これを記したヤシの葉「アガスティアの葉」が各地に残っている。一時日本でもブームになり、多くの観光客が現地のト占所に訪れて占ってもらった。「当…

エッセー「 必要悪の哲学」& 詩

エッセー必要悪の哲学 プーチン大統領は6月9日、初代ロシア皇帝のピョートル大帝を扱った展示会を訪れ、大帝が参加した18世紀のスウェーデンとの戦争(大北方戦争)をいまのウクライナ軍事侵攻になぞらえて、二つの戦いの正当性を主張した。大帝はロシアに元…

「イメージとしての枯山水」& 詩

イメージとしての枯山水 5、6歳の頃、自家中毒(周期性嘔吐症)という病気に罹かった。体内に生じるケトンという物質に中毒症状を起こして嘔吐を繰り返すもので、神経質な子が罹りやすいという。嘔吐が治まるまでは安静にしていなければならず、気持ちの悪…

エッセー 「枯山水」& 詩

エッセー枯山水 陽気が良かったので、久しぶりにぶらぶらと散歩を楽しんだ。すると、近くにある大きな家の庭が雑草に蹂躙されて、荒れ放題になっていることに気付かされた。高齢のご夫婦が住んでいて、奥さんがこまめに庭の手入れをしていたのだが、いつの間…

エッセー「百毒繚乱」& 詩ほか

エッセー百毒繚乱 北国では雪が融け、茶色一色で満たされていた野原のあちらこちらから、黄や緑の淡い色合いが現われ始めてきた。その瑞々しさに胸ときめかす人も多いに違いない。反対に、茶系統の色を綺麗な色と思わないのは、それが死んで枯れた植物の色だ…

エッセー「メタバースでマリウポリを再興しよう」& 詩

エッセーメタバースでマリウポリを再興しよう! ロシアの進攻で、瓦礫と化したウクライナの町々が映像として目に飛び込んでくるようになってきた。僕を含め、多くの日本人が心を痛め、避難民をなんとか助けてやりたいと思っている人も多いに違いない。停戦に…

エッセー 『片耳の大鹿』& 詩ほか

詩送る花(戦争レクイエムより) 死んだ仲間たちの穴に花束を投げ入れようネアンデルタールの人々がそうしたようにそしてその伝統を我々が引き継いだのなら色とりどりの花を並べる店が消え去っても雪解けの野辺に生える草の小さなつぼみを涙で濡れた傷だらけ…

エッセー 「人間は感動を操る動物である」 & 詩

エッセー「人間は感動を操る動物である」 もし僕が大病に罹って医師から余命宣告を受けたとすれば、いままで生きてきた過去を振り返って、感動した出来事を一つひとつ思い出すに違いない。苦い思い出ばかりを振り返れば、来世が期待にそぐわない場合は二度失…

エッセー「神様の想定外」& 詩ほか

エッセー神様の想定外 仏教では修行者が食を絶って大日如来と結合する「即身成仏」や、飢餓などで苦しむ人々の救済を目的に、高僧が生きたまま土に埋められる「入定(永遠の瞑想)」という自ら命を絶つ行為があった。両者ともミイラになるので、即身成仏は空…

エッセー「象徴としてのグレタ・トゥーンベリ」& 詩ほか

詩獄門星 恐竜どもが闊歩していたときちっぽけな脳味噌は宇宙の戯事であるこの星の役割をこれっぽっちも考えなかった 邪悪な肉食竜たちよおまえの祖先はおまえを皆殺した飛礫(つぶて)と同じにどこか平和な星の自浄作用で瘡蓋(かさぶた)が剥がれて宙に迷…

エッセー「 武士道と戦争」& 詩

エッセー武士道と戦争 日本人は「武士道」という言葉に凛々しさや頼もしさを感じるようだ。いざ戦争になれば、頼るのは兵隊さんなのだから、当然のことだろう。彼らが武士道の精神を投げ出し、背を向けて逃げ出したら、国は滅びてしまう。 しかし、「武士道…

エッセー「音楽的人間」と「画家的人間」~キム・ヨナの場合 & 詩ほか

エッセー「音楽的人間」と「画家的人間」~キム・ヨナの場合 クラシック界の歴史的名指揮者ブルーノ・ワルター(1876~1962年)は自伝の中で、人間は「音楽的人間」と「画家的人間」に分けられると記している。なんでも彼が音楽総監督をしていた歌劇場に専属…

エッセー「化石賞」VS「ノーベル賞」 & 詩

詩霊子Ⅱ 夕日が紅茶色に輝いていた霊子は僕の腕に手を回し浜の先の磯に誘ったゴツゴツした岩に座って軽い霊子を膝に乗せ、キスを求める爽やかな冷気がクルクルと僕の口先をからかい海の方へと逃げていった 君はどうして唇が冷たいの?あなたの唇が熱いのはあ…

エッセー「ミルフィーユとディベート」& 奇譚童話「草原の光」二十 & 詩

詩パリジェンヌ(戦争レクイエムより) うんざりしたコロンの臭いも突き刺さる毒々しい言葉も小馬鹿にしたような眼差しだって突然の炸裂音と一緒にどこかほかの宇宙に飛んじまった君の彼女が残したものは紙吹雪のような無数の肉片と香水よりは増しな血の香り…

エッセー「他人の命について」 & 奇譚童話「草原の光」十九 & 詩

詩天空の花園 人生で一度だけこの世のものとは思えないほどの美しい花々を見たことがあるそれはアルプスの高原に広がる高山植物の群生だった一センチにも満たない花たちがそよ風に揺れながら年に一度の装いを競い合っていた汚れのない空気が花びらに溶け込み…

エッセー「 国家暴走抑止力としての『天皇制』」& 奇譚童話「草原の光」十八 & 詩

詩霊子 夕刻に近くの浜辺を散策していると霊子は背後から忍び足でやってきて僕の左脇にピッタリとくっ付き透き通るような華奢な腕を腰に絡めた 僕は思わず彼女の透明な頬に口づけするが爽やかな潮の香りが鼻の中に広がりそこから肺を通して体全体に拡散しこ…