詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ロボ・パラダイス(五)(六)& 詩

ロボ・パラダイス(五)(六) (五) 案内嬢が去ると、遠くの岬まで続く白砂の海岸線を眺めながら、三人とも陰鬱な気分になった。椰子の並木がどこまでも続いている。ブルーコンポーゼの海が広がり、水平線に消えていく。砂浜とパイナップル畑の間には散策…

ロボ・パラダイス(三)(四)& 詩ほか

ロボ・パラダイス(三)(四) (三) ロボ・パラダイス行きの宇宙船は千人乗りで、人間の客室とロボットの客室は透明の隔壁ではっきりと分けられていた。片道切符のロボットたちと、往復切符の人間たち。ロボットたちは、かつてはその脳神経が人間のもので…

ロボ・パラダイス(二) & 詩

ロボ・パラダイス(二) 二台のロボットが完成した日には、ポールの隠れ部屋も用意されていた。ポールは田島の案内で隠れ部屋を訪れ、目を丸くした。全方向のVR空間で、部屋は地球と月の間を浮遊している。 「これで拘禁ノイローゼもナシです。月には広大…

ロボ・パラダイス(一)& 詩

ロボ・パラダイス(一) (一) ポールは久しぶりに彼の脳情報を管理している病院を訪れた。主治医はすでに他界していて、対応したのは孫ほどの歳の差がある若い医師だった。 「お話は大体分かっています。ポールさんはおいくつですか?」 「ちょうど百歳に…