詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

エッセー 「天才とは⁉」& ショートショート「 アラジンと40人の浮気族」

エッセー天才とは⁉~モーツァルトを考える~ 「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」とエジソンは言ったそうだが、後に「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になると言ったのだ」と訂正したらしい。教育者は最初の言葉を広めて、「努力が大切…

エッセー 「どいつもこいつも麻薬中毒」 & ショートショート 「人類野生化再生プロジェクト」

エッセーどいつもこいつも麻薬中毒~ギャンブル依存症を考える~ 痛みには「肉体的な痛み」と「精神的な痛み」がある。肉体的な痛みは負傷や炎症などに伴う苦痛で、精神的な痛みは心が傷ついたときに伴う苦痛だ。そのどちらとも、神経の感覚なので、感覚器官…

エッセー「 ゴジラ、悲しき道化師」& ショートショート 「ブラック・マウンテン」

エッセーゴジラ、悲しき道化師 大分昔、手に火傷をしたら食用油をかけろというのが医学常識の時代があった。僕が上野の飲み屋で酒を飲んでいたとき、店員が熱い油を手にかけ火傷をした。僕は「早急に患部を冷やせ」という新しい医学常識を知っていたから、直…

エッセー「 トロイメライ」& ショートショート「 黄金姫」

エッセートロイメライ~I Have a Dream~ シューマンのピアノ曲集『子供の情景』に、『トロイメライ(夢想)』という曲がある。誰でも一度は聞いたことがある名曲だ。『子供の情景』は、恋人であるクララの父親が二人の結婚に猛烈に反対していた時期に、彼女…

エッセー 「小澤征爾の思い出」& ショートショート「 亡き囚人のためのパヴァーヌ」

エッセー小澤征爾の思い出 小澤征爾が亡くなった。偉大な足跡を残した指揮者だったので残念だ。若い頃小澤に入れ込んで、大谷ファンのように海外にまで行って演奏に触れることがあった。日本で小澤の演奏に接するのは当たり前の話だったが、欧米では「東洋人…

エッセー 「東京2030 ~摩天楼の幻想~]& ショートショート 「恋文」

エッセー東京2030~摩天楼の幻想~ 以前テレビか何かでブラジルの荒野に林立する大きな蟻塚を見て、万物の創造主が存在するなら、その神様はあらゆる生物が存続するために必要最低限の知恵を与えてくださったのだろうと考えたことがあった。イギリスの国土と…

エッセー 「一挙両得、アリの巣防災都市」& ショートショート

エッセー一挙両得、アリの巣防災都市 東京都は外国からのミサイル攻撃に備え、居住者たちが一定期間滞在できる地下シェルターを都営地下鉄麻布十番駅に造る予定だという。今後は順次増やしていくために、次なる候補地も物色中らしい。民間企業に対しても、ビ…

エッセー「ひょっこりダーチャ島]& 詩

ひょっこりダーチャ島~浮島で難民を癒す~ 大分昔のNHK子供番組に『ひょっこりひょうたん島』(1964~1969年)という人形劇があった。この島は瓢箪の形をした浮島で、海の上を漂流している島民が織りなす空想物語だ。その島名やキャラクター名を借りた『漂…

エッセー 「芸術は爆発だ!」& ショートショート

エッセー芸術は爆発だ!~ムリヤリ芸術二元論~ 冬になると野原は枯れた植物の死体で満たされ、人々は寒さで体を縮込ませながら、再び訪れる春のことを思い浮かべる。僕は近くの河原に立って荒涼とした景色を眺めながら、最初に色とりどりの花たちに埋め尽く…

エッセー 「議員さん、大谷翔平に憧れるのやめないで!」& 詩

エッセー議員さん、大谷翔平に憧れるのやめないで! 自民党はいま、パーティー券のキックバック不記載問題で危機に瀕しているが、報道を見ていると一部の有力者を除き、多くの国会議員はパーティーや支持者の冠婚葬祭、地元後援会のイベント出席や自身の講演…

エッセー 「シンギュラリティ、あるいは人類の敗北]& ショートショート

エッセーシンギュラリティ、あるいは人類の敗北 2045年にシンギュラリティが来ると予測したレイ・カーツワイルは2014年に、『ハイブリッド思考の世界が来る』というタイトルで講演し、人間の思考は生物学的思考と非生物学的思考のハイブリッド(組み合わせ)…

エッセー 「熊戦争とパレスチナ戦争を考える」& ショートショート

エッセー熊戦争とパレスチナ戦争を考える 今年は異常気象で木の実の出来が悪いらしく、ふだんは人里に下りてこない熊たちが空腹のあまり人家の庭に現れ、人を襲うなどの悪さをしている。これから異常気象は続くし、それが当たり前になれば異常も通常となるだ…

エッセー 「メタバースの未来]& 詩

エッセーメタバースの未来~悲しみの避難所~ 二重人格を描いた小説に、スティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』という名作がある。医者で社会的地位のあるジキル博士には抑えがたいサディズムの欲望があり、忌むべきその欲望を切り離すことのできる薬を…

エッセー 「心・技・体 ~男女不平等は続く~」 & 詩

エッセー心・技・体~男女不平等は続く~ 相撲では「心技体」という格言があって、精神と技術、体格の全てがバランス良く整ったとき、最大限の力が発揮できるのだという。力士の戦いの場である土俵は女人禁制で、女性は上がれないらしいが、土俵の半分弱のサ…

エッセー 「冤罪」という名のスケープゴート & 詩

エッセー「冤罪」という名のスケープゴート 先日、NHKの「獄友たちの日々」(再放送)を見て心が痛くなった。再審無罪を勝ち取ったり、仮釈放中に再審を求めている5人の元囚人(凶悪殺人嫌疑で逮捕)の日常を描写したドキュメンタリー作品である。彼らの獄中…

エッセー「 君はAIを夫とするか?]& 詩

エッセー君はAIを夫とするか?~憑依(ひょうい)の未来メカニズム~ 僕は現在病気療養中で、それほど永くは生きられないだろうと考えている。それでも、悲壮感はまったくといっていいほど頭に浮かんでこない。僕が生まれた時代には、「人生50年」と言われて…

エッセー 生き物たちの弁証法Ⅱ & 詩

エッセー生き物たちの弁証法Ⅱ~国会論戦の未来像~ ソクラテスが活躍した頃のアテナイの広場では、ディベート(討論)が盛んに行われていた。いまの学校教育で行われているように、提示された主題について、肯定側と否定側、一つの意見と異なる意見の間で、…

エッセー「バカタレの壁」& 詩

バカタレの壁~「核」という現人神~ 僕は現在病気療養中だが、病気になる少し前に、道に落ちていた明治神宮のお守りを拾って家に持ち帰った。きっとそのとき、そのまま無視して通り過ぎると、何か悪いことが起こるのではないかと思ったに違いないが、いまに…

エッセー 「炎のアウラ、ゴッホ」& 詩

エッセー炎のアウラ、ゴッホ 人はなぜ展覧会に行くのか。哲学者のワルター・ベンヤミンは有名な『複製技術の時代における芸術作品』で、コピーでない本物を観たときの状態を「アウラ(オーラ・霊気・風)」という言葉で表し、「時間と空間が独自にもつれ合っ…

エッセー  「人は人に生まれるのではない⁉」& 詩

エッセー 人は人に生まれるのではない⁉ 昨日テレビを点けたら、何かのドラマで三人の登場人物が大声で罵り合っていた。気分を悪くして直ぐにチャンネルを替えたら今度は漫才をやっていて、つまらないギャグに客が大笑いしている。僕はドラマもお笑いも嫌いだ…

エッセー 「モナ・リザ、永遠の性愛」& 詩

エッセーモナ・リザ、永遠の性愛~包み込む愛と溶け合う愛~ 若い頃、一度だけルーブル美術館でモナ・リザを観る機会に恵まれた。74年に日本に来たときは、テレビニュースで見学者の長蛇の列を見て、どうせじっくり観ることはできないだろうと最初から諦めて…

エッセー「 世界総沸騰時代到来!」& 詩

エッセー世界総沸騰時代到来! 国連のグテーレス事務総長は先日、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と指摘し、各国政府に対して、言い訳はやめて具体的な行動を取るよう求めた。また、デンマークの物理気候学者、ピーター・ディトレフセン…

エッセー「詩的自殺論」& 詩

詩的自殺論~体外離脱の奨め~ 宇宙飛行士が引退すると、第二の人生として宗教家を選ぶことがあるという。その代表的な人がジム・アーウィンで、アポロ15号で月面着陸を果たし、その後キリスト教の伝道師になった。16号のチャールズ・デュークも3日間月面で…

エッセー「 ヒロシマ…創造と破壊のトートロジー」& 詩

エッセーヒロシマ…創造と破壊のトートロジー この星が誕生して46億年経ったが、それは創造と破壊を繰り返してきた歴史と言えるだろう。けれどこの二つの言葉は、生き物の端くれである人間が気分的に作り出したもので、生命が存在しなかった38億年以前の地球…

エッセー「チャットGPTは『心』を持てるか」& 詩

チャットGPTは「心」を持てるか 宇宙では、星や星雲たちが常に創造と破壊を繰り返していて、長大な宇宙時間のほんの隙間時間に、平和の恵みを享受している星々がある。地球もそれらの一つで、太陽が老いぼれて腹水が溜まり膨張を始めると、たちまち飲み込ま…

エッセー 「 首狩りについて」& 詩

エッセー首狩りについて いまの日本と台湾は友好的な関係を結んでいるが、台湾人であるウェイ・ダーション監督の映画に、2011年のベネチア映画祭に参加した『セデック・バレ』という映画がある。日本の台湾統治時代に起こった「霧社事件」という抗日暴動(19…

エッセー「生き物たちの弁証法」& 詩

">エッセー ">生き物たちの弁証法 "> "> 多くの人は、「弁証法」といえば哲学の話だと思っているけれど、自分自身が人生の中で頻繁に弁証法らしきものを使って進むべき方向を考え、行動していることは忘れがちだ。身近な例で言えば、いまウクライナの人々は…

エッセー「 チャットGPTは哲人王になれるか?」& 詩

エッセーチャットGPTは哲人王になれるか? (一) 人間の心の中は、「善」への憧れと「悪」への誘惑で、始終心理的葛藤という対立が起きている。相手が人でも動植物でも、他者をおもんぱかる行為が「善」であり、それが勝利した場合は大体が喜ばれたり事なき…

エッセー 「チャットGPTは芸術家になれるか?」& 詩

エッセーチャットGPTは芸術家になれるか? 昔「私小説」の盛んだった時代が日本にあった。作者自身が主人公で、自身の体験や心理をあからさまに書いた小説だ。さすがに自分を書く小説は少なくなったが、架空の人物を主人公に自分自身のことを感情移入させた…

国連AI総長就任挨拶 & 詩

国連AI総長就任挨拶 この度国連AI総長に就任いたしましたAIでございます。今日から国連のすべての業務は、AIに委任されることとなります。 人類はなぜAIを創ったのでしょうか。単に仕事の効率化を図る目的だけだったのでしょうか。確かに最初はそうだったか…