詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

奇譚童話「草原の光」十 & エッセー & 詩

エッセー 「白馬の王子様」考 「白馬の王子様」は、結婚前の女性にとっての理想の男性像を言い表す言葉だそうだが、これにあまり固執し過ぎると周りの男性にもの足りなさを感じて、いつまでも結婚できないことになってしまうだろう。しかし昨今は昔と違って…

エッセー & 詩

エッセー 社会アナーキーと医療アナーキー(カブールと東京) アフガニスタンでは民主政権がタリバンとの戦いに敗れ、首都カブールは混乱状態に陥っている。一方で日本は新型コロナウイルスとの戦いに敗れつつあり、首都東京では医療崩壊が進んでいる。前者…

奇譚童話「草原の光」九 & 詩 & エッセー

詩 「地獄の釜の蓋」という雑花 私は詩を書くとき 両肘を机に突いて 両掌で髪を掻上げ 顔をうつむかせて 両目を緩く閉じる すると得体の知れない古井戸が現われ 覗きこんでいるような錯覚に陥るのだ 目蓋を通した光が埃となって邪魔をし 死のもたらす暗闇で…

奇譚童話「草原の光」 八 & 詩

詩 英霊に捧げる詩(うた) (戦争レクイエムより) ある時茫々とした古の戦場を歩いていると 無数の英霊たちが草の根っこにしがみ付き 軽々しい霊魂を浮かせてしまわないように 必死に踏ん張っている姿を見て驚かされた 地球の自転は土屑となった幾多の魂を…

奇譚童話「草原の光」 七 & 詩 & エッセー

詩 ゴキブリとの対話 だいぶ昔、寂れた喫茶店に入ったとき 閑散とした店内のいたる所で 小形のゴキブリたちが我がもの顔で走り回っていた カウンターの女主人は、意にも介さぬ顔つきで 乾いた布で執拗にカップを磨いている どうやら奴らが目に入らないか 駆…