詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

戯曲「クリスタル・グローブ」七 & 詩

戯曲「クリスタル・グローブ」七 七 放射能広場 (薄青白く光る広場。時たま放射線が霧箱のように飛び交う。美里は水の無い崩れた噴水池の縁に腰掛けて、小犬を撫ぜながら考え込んでいる。背後からストーカーが近寄り、暫く様子を窺う。後ろの物陰には、理科…

戯曲「クリスタル・グローブ」六 & 詩

詩 コンピュータの告白録 ぶっちゃけ生物的な快感はないんです その一点だけでも人間の感性じゃありません 人工五感はあります いや「入力」でいいんです 人間は脳内ホルモンが出て高揚しますが 僕は「アリ」「ナシ」信号で判断します 達観した禅僧みたいな…

戯曲「クリスタル・グローブ」五 & 詩

詩 ミラノの老女(戦争レクイエムより) 町外れの石畳の上 カチカチに凍った椅子に腰掛ける老女は 近くのバールで用を済ませる以外は 三六五日二四時間椅子から動こうとしない グロテスクにだって、それなりに理屈はあるというものさ 戦死した三人の息子が …

戯曲「クリスタル・グローブ」四 & 詩

詩 民主化運動 食い止めることのできない 大きな感情のうねりよ 正義という名のもとに 洪水となって広がっていく 傍観者たるお前は濁流に掛けられた板橋を 上手く渡っていかなければならない 手すりなどあるものか 頼りになるのは身のこなしと平衡感覚 飲み…