詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

火星移住Ⅲ & 詩

火星移住Ⅲ 見学路は終わり、スケルトンのエレベータに乗り込んだ。一〇〇人乗りのエレベータは上昇し、下からは見ることのできなかった在庫品たちを確認することができた。溜まるばかりの在庫品が五○○段、下から上までびっしりと保管されている。見学者たち…

火星移住Ⅱ & 詩

火星移住Ⅱ 一時間後に見学が始まった。広々とした見学通路で、どこまでも一直線に続いていてどん尻が見えなかったので、アッと声を発する者もいた。とても歩ける長さではないと思ったからだが、通路の半分がゆっくりと動いていたので全員がホッと胸をなで下…

火星移住Ⅰ & 詩

火星移住(短編バージョン)Ⅰ 国際連携主催のスパコン・コンクールで勝利したのが、量子コンピュータ「ピッコ」だ。地球温暖化は当然制御不能、気候変動による食糧難が世界を苦しめている。アメリカをはじめ主要各国が自国優先主義を標榜する中、世界同時核…

恐るべきリケジョたち(全文)

河原では一○人の男がダンボールの中で暮らしている、といっても立地条件の関係上、やむなく狭い場所に集合しちまった。全員アフター六○だがけっこう有能だった連中もいて、仕事がなくてホームレスになったわけじゃない。みんな働くのがいやになったのだ。過…

恐るべきリケジョたち(最終)& ネクロポリス(最終)

恐るべきリケジョたち(最終稿) 多少個人差はあるが、実験台は次々に意識を取り戻していった。気が付いたところは一〇〇メートル四方の中庭である。一方は建物の壁、対面は鬱蒼とした山林の壁、両脇は刑務所のような高い塀になっている。建物の壁には窓一つ…