詩人の部屋 響月光

響月光の詩と小説を紹介します。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

奇譚童話「草原の光」 六 & 詩

詩 「希望」という名のパスポート 行詰った神学者が自殺をした 案の定、地獄の使者がやって来て、深々とお辞儀をする やはり私の魂は神の所有物でしたか… 私はそれを確かめるために自ら命を絶ったのです 学者がため息を吐くと、使者はシニカルに笑い 馬鹿な…

奇譚童話「草原の光」五 & エッセー

エッセー アミメアリを超えよ! (社会におけるアポトーシスとネクローシス) 前回のエッセー『箱男と砂の女』では、多細胞社会の話をした。社会は単細胞である個人が寄り集まったリヴァイアサンのような多細胞の怪物だ。多細胞生物では、組織全体の機能性を…

奇譚童話「草原の光」四 & エッセー

エッセー 『箱男』と『砂の女』 地球に発生した最初の生き物は単細胞だった。それは、外界から隔絶するための細胞膜を持っていた、ということは、周りの環境から独立を宣言した最初の個体であったということだ。しかし、外界から栄養を貰わなければ死んでし…

童話「草原の光」三 & 詩

詩城(失恋色々より) その城壁はマトリョーシカのいちばん外側だその周りには敵を溺れさせる水が溢れているその殻を破ると次の殻が現われる入れ子構造それはアルマジロの外皮のように光り美しい敵視された人間の前で、城門は固く閉ざされ最初の門を突き破っ…

童話「草原の光」一、二 & 詩

詩ちょっとおかしな自由論 おめでたき人々、日本人よ君たちは中国の監視社会に怒ってるが自分自身が衆人環視の中で生きていることを知らない試しに素っ裸で往来を歩いてごらんよ直ぐに誰かが通報し、警察が飛んでくる一人ひとりが監視人人間以外の生き物は、…